仙台市立南材木町小学校(南材小) 音楽教育自主公開研究会 平成17年度仙台市教育委員会認定 研究主題 いいね その声 その音 その笑顔 〜子どもたちが音楽を楽しみながら力を付けていく授業づくり〜 報告その1 「南材小のこと・研究のこと・学年別研究の視点・題材指導計画」 |
ジジのメッセージ 「音楽の南材」は一度は行きたいと思っていた学校。ラッキーにもその機会が得られた。1年生で「キラキラ星」をヘ長調で歌っていた。いろいろな楽器を選択し、リズムの工夫をする授業。出来上がったものを発表した。そこにはすでにABAという形式がしっかりと学習された成果がありビックリ 音楽集会では、今月のテーマ ”[明日に向かって、響け歌声! ー一人ひとりの声・笑顔がすてきー」のもと、今月の歌「Across The Road」をクイズ形式によって様々な歌い方を体験したり、響きのある美しい声を体得しながら["合唱っていいな”を感じよう”」に迫る内容。その過程で音楽委員会の子どもや先生から的確なワンポントアドバイスが入る。最後は全国的に有名な合唱団の歌に合わせて退場。 全体講演では、高須 一(文部科学省教科調査官)からは”審議会をはじめ今は学力の時代です。音楽科も学力について具体的なデーターで語らないと・・・・!!。”といった熱いお話しがあった。 音楽集会から授業。それに分科会・全体講演にいたるまで”目から鱗”といった場面がたくさんあった。と同時にとても緊張した一日だった。当日の資料を数回にわけて提供します。 |
「音楽の南材」の歩み ○ NHK合唱コンクール全国大会で8回優勝,第2位が3回、第3位が4回 南材木町小学校はNHK合唱コンクールで昭和9年から3年連続で優勝しました。このときから「音楽の南材」として 全国にその名が知れわたりました。この快挙を記念してNHKから優勝旗が永久保存として贈呈されました。 これまでに南材小は、NHK合唱コンクール全国大会で8回優勝,第2位が3回、第3位が4回という成績を上げ ています。 ○頭声発声指導の研究 昭和27年、南材小は文部省より小学校音楽教育実験学校の指定を受け、先進的な音楽教育の研究に取り組み ました。同28年・30年と発表会を開催し、頭声発声の指導法の研究で大きな成果をあげ、南材小から全国へ頭声 発声法の歌唱指導が広がりました。 ○音楽への憧れを膨らます音楽活動・・・・・・・・うたごえタイム・音楽集会・音楽発表会 本校では、週一回「朝の歌」の時間を設定し(現在は「うたごえタイム」)、全校挙げて”歌声づくり”に取り組んできま した。現在は、低学年のクラスは音楽委員会の児童が中心になり、3年生以上はクラスの音楽係りや合唱団の 児童が中心になって歌声づくりのお世話をしています。 また、その成果を、月に一回の「全校音楽集会」(当初は「全校朝の歌」)で発表し、美しい歌声や楽器に触れる機 会を年間を通して確保し、音楽への憧れを膨らませ、主体的に活動する態度を育成しています。 さらに、音楽活動の成果を発表する場として「音楽発表会」を年間指導計画の中に位置づけています。楽しい音楽 づくりを目指して、授業・うたごえタイム・音楽集会などで学習・体験したことに、各学年が独自の取り組みを加えて、 音響設備の整った近隣の音楽ホールを利用して年に一度発表します。児童一人一人がこれまでの経験を生かして 協力し合い、表現する喜びを味わえることをねらいとしています。「音楽発表会」は今年で32回を数えます。 ○「全国的かつ総合的な学力調査の実施に係る研究」(国立教育政策研究所)指定 昨年度(16年度)までの2年間、国立政策研究所(国政研)から指定を受けて「全国的かつ総合的な学力調査 の実施に係る研究」(全国で5校)に取り組みました。学習指導要領改訂につながる研究を音楽科教育を通して 行いました。そして、今年度、仙台市教育委員会認定研究会を開催し、国政研の研究成果と本校の音楽教育の 取り組みを発表することになりました。 |
◆1 研究計画 1 研究主題 いいね その声 その音 その笑顔 〜子どもたちが音楽を楽しみながら力を付けていく授業づくり〜 2 研究主題設定の理由 今日の学校教育には、子供一人一人のよさや個性を生かしながら自ら学び自ら考える力をはぐくみ、他人を思いやる 心や感動する心など豊かな人間性を培い、社会の変化に主体的に対応する能力を育成することが求められている。 学習指導要領は、このような社会の要請を受けて、基礎・基本を確実に身に付けさせ、自ら学び自ら考える力、生涯に わたって学んでいく意欲等の「生きる力」を育てることを基本的なねらいとしている。音楽教育においても、音楽を愛好 する心情と音楽に対する感性を育てるとともに、音楽活動の基礎的な能力を培い豊かな情操を養うことを目標にして いる。 本校は、教育目標に「心豊かでたくましく、主体的に学ぶ児童の育成」を掲げ、学校教育全体を通して「生きる力」の育 成に取り組んでいる。音楽教育をその重点事項の一つとして位置づけ、自分や友達のよさに気付き、互いに認め合いな がら美しい歌声を響かせる喜びや友達と協力して演奏する楽しさを味わうことができる子供たちを育てることを目指し、 音楽活動の充実に努めてきた。授業だけでなく、様々な生活場面においても音楽活動を設定し、子供たちが感じたこと や心に描いた思いを膨らませながら、豊かに表現する力を高める取り組みを進めてきた。 平成15年度・16年度の2年間、国立教育政策研究所指定研究「全国的かつ総合的な学力調査に係る研究」に取り組 む機会を得た。研究を通して、どの子供にも音楽科教育の基礎・基本を確実に身に付けられるようにするために適切な 年間指導計画と題材指導計画を作成するとともに、指導と評価の一体化を図った授業づくりを進めることの重要性を改 めて認識することができた。 これまでの指導を通して、音楽へのあこがれを膨らませてながら進んで音楽活動に取り組む子供たちの姿が見られる。 そのよさを更に伸ばし、子供たち一人一人が音楽科教育において身に付けるべき資質・能力を着実に習得できるように するためには、これまでの研究の成果を踏まえながら、より主体的に学習に取り組めるよう、発達段階を考慮した指導の 在り方を探り、授業改善に重点を置いて進めることが大切であると考えた。 3 研究の方法 題材の配列や扱う主な教材、学習指導要領との対応等が一覧できる年間指導計画及び題材ごとにねらいや教材の 扱い、指導の概要と評価項目等を記した題材指導計画の作成、子供たちが「音楽は楽しい」と感じることができる授業 の創造、音楽活動(うたごえタイムや音楽集会、音楽発表会)の充実を三つの柱にして、次のような方法で研究を進め、 研究主題に迫る。 (1)授業の充実 ○下記の3点に基づいて、研究実践を積み重ね、子供たちが音楽科において身につけるべき資質・能力を着実に習得 できるような授業の在り方を探求する。 ・学習のねらいを達成するために、題材の構想と展開を工夫する ・子供たちが意欲的な学習に取り組むようするために、学習指導を工夫する。 ・子供たちに着実に音楽の基礎・基本を身に付けさせるために、指導と評価の一体化を図る (2)音楽科年間指導計画及び題材指導計画の充実 ○授業と音楽活動等の連携を図りながら見通しをもって指導に当たるために、題材配列の系統性や子供たちの実態を 考慮した音楽科年間指導計画を学年ごとに作成する ○授業における指導の充実を図るために、題材ごとのねらいや教材の扱い、具体の評価規準、指導内容と評価事項が 明示された題材指導計画を子供たちの実態に配慮して作成する。 (3)うたごえタイム及び音楽集会、音楽発表会の充実 ○うたごえタイム及び音楽集会において、様々な音楽活動に出会い、共通体験を重ねていく中で、音楽を愛好する態度 を育て、音楽の楽しさや美しさ、感動の味わい、音楽活動の意欲を高めていくように、内容の充実を図る。 ○音楽発表会において、表現する喜びを味わい、音楽的な感動を共有することができるようにするために、年間指導計 画での題材の配列や時数の分配を適切に設定し、普段の学習の成果が発表内容に生かされるようにする。 4南材小の授業づくり 子供たち一人一人が、音楽を楽しみながら、主体的創造的に音楽活動に取り組み、着実に音楽的資質・能力を身に 付けていくとができる授業づくりを行う。そのために、次のような研究の視点を設定して、研究実践を積み重ね、 よりよい授業の在り方を研究する。 (1) 研究の視点 @題材の構想と展開の工夫 ○ねらいに即した授業を準備するために ・子供たちが進んで学習に取り組むことができるような魅力ある教材の選択や展開の工夫 ・育てたい力と評価を明確にした年間指導計画及び題材指導計画の作成 A学習指導の工夫 ○子供たちが主体的に活動するために ・課題提示、 発問、 場の設定、 指導過程等の工夫 B指導に生きる評価の工夫 ○子供たち一人一人の学習状況を的確に把握するために ・場面に応じた評価方法の工夫 ・評価結果を指導に生かす工夫 (2)授業研究 @学年部の研究の視点に基づいた授業実践を進める。 ・各学年部の研究主題を設定する。 ・各学年部で目指す「その声」 「その音」 「その笑顔」の具体的姿を押さえる。 ・研究の視点を踏まえて、学年部で研究の視点をさらに設定し、研究を進める。(標1参照) A授業研究会を行い、授業の改善を図る。 ・学年部での授業づくり → 指導案検討会 → 研究授業 → 事後検討会 → 授業改善 ・全校で見合う授業(学年別代表授業)と学年部会で実施する授業(学年部内授業)を組み合わせて、授業の改善 を図る。 B研究を進めながら生じた課題は、研究推進委員会での検討を経て、研究全体会で狭義し、解決を図る。 |
【学年別研究の視点(表1】
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学年部主題 | (1)題材の構想と展開の工夫 | (2)学習指導の工夫 | (3)指導と評価の工夫 | ||||
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低 学 年 部 |
音楽を心から楽し む子供を育てるた めの指導法の工夫 | @子供の実態を考慮し、子供 が心から楽しんで活動するた めの教材の選択 A音楽活動に楽しんで取り組 むための指導計画の作成と 展開の工夫 |
@ともに楽しみ合い、互いのよさ を共有できる場の工夫 A楽しんで音楽活動ができるよう な学習形態の工夫 |
@音楽の楽しさを味わわせる ための評価方法の工夫 |
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中 学 年 部 |
進んで音楽にかか わり、友達とともに 楽しむ子供を育てる ための指導法の工 夫 | @子供の実態や題材のねらい を十分に考慮した、子供が進 んでかかわるための魅力あ る教材の選択 A基礎・基本を、楽しく確実に 身に付けるための指導計画 の作成と展開の工夫 |
@一人一人が進んで音楽にか かわり、生き生きと活動できる 指導形態の工夫 A子供の思いを把握し、意欲を 高めるための学習カードの工 夫 |
@学習過程を大切にした評価 方法の工夫 A「努力を要すると判断される 」子供を「おおむね満足で きると判断される]学習状況 にしていくための手だての工 夫 |
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高 学 年 部 |
創造的な音楽にか かわり、互いに高め 合う子供を育てるた めの指導法の工夫 | @子供の実態や題材のねらい を考慮し、積極的かつ創造的 にかかわることができるため の魅力ある教材の選択 A音楽との出会いや子供同士 の触れ合いの場を大切にした 、指導計画と指導時数の設 定の工夫 |
@一人一人が主体的・創造的に 音楽にかかわり、深まりや高ま りのある展開の仕方の工夫 A効果的に学習を進めるための 学習カード工夫 B子供の思いや学習が深められ 、互いに高め合えるための指導 形態の工夫 |
@子供の学習過程を大切に した評価場面や評価方法の 工夫 A一人一人の表現に技能を 高めるための指導と評価の 工夫 |
平成16年度音楽科題材指導計画 第1学年より
1学年題材指導計画@ 2.教材について |
3.題材の評価規準 | |||||||||||||||
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おわりに 公開研究会資料として、 平成16年度音楽科年間指導計画 平成16年度音楽科題材指導計画 平成17年度音楽科年間指導計画 が示されました。いずれの内容も具体的で”即役に立つもの”でした。特に題材指導計画は大変参考になりました。新年度準備を前に平成16年度音楽科題材指導計画についてはできるだけ報告したいと考えています。その中から、今回は平成16年度第1学年から10題材中から題材指導計画@について報告します。 |