第13期・前期「音楽科特別講座」報告

 平成17年8月22日(月)〜23日(火)
会場 日本青年館
主催 音楽教育推進協議会”関東甲信越21世紀の会”
協力 全日本学校音楽研究会
協賛 ヤマハ株式会社


 ◇ 講 演 
      ○お話しと演奏
                〜スーパーピアニスト・キーボーズの世界〜
                         講 師:斉藤 雅広


 ◇ ワークショップ
     参加者のアンケートや、また現場のニーズ等を分析し講座内容を設定しました。身近な楽器の基礎・基本から 
     コンピューターミュージックにいたるまでの10講座。

   弾く? 吹く?  ピアニカ
                     
講 師  珠玖加奈子  (全日本学校音楽研究会)
  
  
 内容   ・ソプラノリコーダー    導入指導法と基本奏法
         ・鍵盤ハーモニカ      導入指導法と基本奏法
         ・リコーダーとピアニカを使ってアンサンブル実技研修



  「楽しい リコーダー学習のすすめ」
                     
 講 師  山田 洋一  (全日本学校音楽研究会)

   ○ 内容   ・3年生    身につけたい音のイメージ  タンギング  楽器の手入れ
            ・4年生    タンギング指導の方法  サミングのコツ  
            ・高学年    身につけたい奏法  高音・低音を演奏するタンギングと息のコントロール
            ・曲想により使い分けたいタンギング  フレーズ感を大切にする指導法 
                                   色々な種類の楽器を体験しよう
            ・早い運指に対応するコツ  ・アンサンブルを楽しむためのテクニック 
            ・歴史から見るリコーダー教育



  グループで体験  教科書教材料理法 ・ 教育機器の有効活用」
                     
 講 師  近江 博幸  (全日本学校音楽研究会)
   
   
○ 内容   ・料理の前に!      キッチン点検(音楽室・教室)  道具はOK?(楽器・音響設備など)
                            バランスの良い食事かな?(年間指導計画・題材の設定)
            ・今日の料理(題材)   今日は何を作るかな 和食・洋食・中華・・・(楽曲の選択)
            ・冷蔵庫にはこれしか無いし、食材も仕込まないと(楽曲分析)
            ・栄養のバランスはいいかな?  (基本要素の確認)−(形式・背景)
            ・さあ!お料理しましょう!(活動)
                私たちはこれをつくるから、あなたたちはあれね。(学習形態の工夫)
                下ごしらえはしっかりしたい。(基本要素の整理)
                何で(コンロでオーブンで)何分(煮る・焼く・ゆでる・むす・・・・) 声で 楽器で 鑑賞で
                あらあら、焦げてるよ!  吹きこぼれるよ! うん、いい感じ!  あら!じょうずね!(評価)
           ・盛り付けは素敵かな(表現の要素)
                ディナーミク(強弱)  音色  速度
           ・試食してみましょう
                どんな味がするかな(評価)  わあ!美味しいわね   何か物足りないわね
                                    わあ!まずい!  (お腹が痛い!)

           
・今度は何をつくりましょうか?



   豊かな表現に!   「音楽科授業の管楽器」  管楽器の有効活用
                 
    講 師  角田 昌直  (全日本学校音楽研究会)

   ○ 内容  ・なぜ管楽器?   身近な楽器
           ・まず取り扱いの指導はしっかり
           ・出せる音からはじめよう
              移調楽器なんて怖くない(スケールチャート)  リコーダー感覚で  これは大切、歌って練習
              カラオケで楽しく
           ・個々のレベルを見極める為の予備知識
              音の出る秘密  管楽器は弦楽器?  管楽器は拡声器?  倍音の理解
           ・練習の工夫
              音符のグループ分け  効果的な練習のヒント
           ・楽器毎の特性を生かそう
              音域の知識  楽器の機能
           ・みんなとあわせて
              歌とあわせて  器楽合奏に  出る音で楽しく
           ・便利なコンピュータの活用
           ・付録 小学生への管楽器指導のポイント
              姿勢 持ち方ですべてが変わる  ブレスのチェック法のヒント  マウスピースとバズィング
              舌の使い方は? 歯と歯の間は?



   持ち方? 打ち方? 叩き方?  「 ラテン打楽器の魅力 」  授業に役立つ基本奏法
                     
講 師  八木 成隆  (全日本学校音楽研究会) 

  ○ 内容  ラテン、フォルクローレ、大陸、現代、ジャズ、ストリート・・・・・・。叩く,振る、擦る、音がでるのものは
          何でも打楽器。感じたままにプレーし、楽しむ事が何より大事だと思います。それが本来の姿です。
         手で叩くというのは単純なようで奥が深いものです。

 
        無くても合奏やアンサンブルが成立しますが、曲の仕上がりのスパイス、最終的な味付けとして、重要
          な役割をするのもパーカッション。ルーツを学ぶことや引き出しを広げることで、様々なアプローチが
          可能になります。



   身振り! 手振り!で  「名指揮者」  指揮法
                     
 講 師  堺  武弥  (オランダ王立管弦楽団指揮者)

  ○ 内容 ・ 「指揮の基本」  指揮法の概論
           @ よい指揮とは
            わかりやすい指揮  ていねいな指揮  親切な指揮
            拍の明示(点)によるテンポと表情の伝達=音楽の見える指揮
            途中のどの拍からも入ることができる指揮 
            機能的な指揮(ムダを省く)=指揮美(視覚的にも大切)
          A 指揮運動の原理
         ・準備1      指揮棒  自分にあった指揮棒の選び方
         ・準備2      演奏の前の準備  (作曲者・作品・楽曲分析・練習計画)
         ・楽曲の開始  予備運動  指揮の図形  指揮に必要な筋肉と脱力
         ・楽曲の終止、停止、再開始
         ・指揮の運動  間接運動  叩き  平均運動  しゃくい        直接運動



   五感を生かした楽しい「音」と「動き」の表情 「リズム・ムービング」
                      講 師  柳沼てるこ  (武蔵野音楽大学助教授)

  ○  内容  ・見えないものを「見る」
           ・こころを映す模倣をしていますか?
           ・「いい気分!」(蜿タ てるこ作曲)
           ・音と音の「間」
           ・「音」と「うごき」
           ・「Rhythm Moving 蜿タ てるこ作曲」 



 H  楽譜やミディデーターソフト  「学校用ハローミュージック」  活用法
                      
講 師  妹尾 雅利  (全日本学校音楽研究会)

 
 ○ 内容  ☆コンピューターの多機能を活用した基本的と実際
           ・音をシュミレーションして何回でもやり直す事ができる(目・耳で確認)
           ・反復が簡単にできる(保存・MIDI)教育機器活用等・・・・・
           ・つくった曲をすぐ楽譜として見ることができる(手書きでは音がでない)作曲・アレンジ・・・・・・
           ・曲の速さや、リズム、強弱、音色など自由自在にコントロールできる(楽典)
           ・情報の共有化を図り全員で同じ素材で学習できる(データー活用)
         ☆教育機器の活用データーの互換性



   やってみる?    「シベリウス2  楽譜作成初級体験編
                   
 講 師  菅野 直樹  (全日本学校音楽研究会)

 
 ○ 内容  ・スコアの作成ー1
             1、新規スコアの作成  2、五線サイズ、用紙サイズの変更  3、パートの追加と削除
             4、楽器名の追加、変更  5、各パート間のスペースの変更  6、スコアの保存
         ・スコアの作成ー2
             1、タイトル・テンポ・作曲者名の入力  2、テンポ・リハーサルマークなどの表示位置の入力  
             3、拍子の入力  4、調号の入力  5、小節の追加、削除、挿入  6、複縦線、リピート記号等の入力 
         ・音符の入力
             1、音符の入力  2、連符の入力(3連符〜)  3、コピー機能の活用  4、装飾音符の入力
             4、打楽器パートの入力



  これからどうする?    「シベリウス2 ・ 楽譜作成応用編」
                     
講 師  笹森 敏明  (全日本学校音楽研究会) 

 
 ○ 内容  ・音符の入力(応用編)
              1、1パート2声部の作成  2、音符間隔のリセットと微調整  3、カデンツァ(変則拍)の入力
              4、小玉(キュー)音符の入力
           ・各種記号をつけよう
              1、スタカート・アクセント・テヌートの入力  2、強弱記号の入力
              3、その他の、よく使われる記号の入力   4、その他の便利な「テキスト」記号の入力
              5、リハーサルマークの入力
           ・スコアのまとめ方
              1、スコアのレイアウト  2、楽器のグループ化(小節線・括弧)
           ・印刷
              1、スコアの印刷  2、パート譜の作成と印刷



 ◇ 全体研修
   ○実践発表   学級担任の実践から
              〜音楽好きの子どもを育てる五つのひみつ〜
                     
講 師  渡邊郁子 (新潟市立内野小学校教諭)

 
 ○ 内容    ひみつその1  「あこがれる」気持ちを大切にした環境づくり
                ・授業のはじまりは素敵な音楽から・・・・
                ・音楽室は思いっきり自分を表現する場所
                ・みんながヒーロー ミュージックタイム
                ・金管バンド「THEスマイリーズ」
           ひみつその2   「見抜く」と「見とる」
                ・子どもに考えさせる発問と子どもを伸ばすコメント
                ・評価する場面や方法の工夫
                ・自己評価できる子ども
           ひみつその3   「教材」は学びの素材
                ・教師も子どもも盛り上がる教材選び    
                ・手だての工夫で授業は変わる  
                ・どのような教材の組み合わせ方が効果的?
           ひみつその4   授業は「LIVE」
                ・「ドキ ドキ・ ワク ワク
そんな授業のウラには緻密な計算
            
・「ノリ」のいい先生はやわらか頭
                ・信頼関係がなければ授業は成り立たない
                ・どんなことがあっても、音楽室では笑顔とハイテンション
                ・発問と質問の違い
           ひみつその5   「やりたい」「もっとやりたい」
                ・学習方法を学ばせる
                ・「自分でやりたい」と意欲をもった子は楽しくてしかたない     



   ◇ 合唱曲研修
                   〜作曲家・中山真理の世界〜
                      
講 師  中山真理 (東京学芸大学附属小学校教諭)


◇ ご協力いただいた感想から
 この講座に参加するきっかけになったのは、講座の内容が大変豊富で、日頃私が悩んでいることに応えてくれるようなものに違いないと思ったからです。事実、それは私の予想以上でした。2日間の講座を通して、私が再認識したことは、「子どもたちにより豊かなイメージを持たせていく」ということです。音楽の授業の中で、楽器、楽典的な面はどうしても技能として身につけさせなければなりません。それを技能指導とさとられないようにいかに楽しく行っていくかはいつも悩むところです。しかし、講師の先生方は、どの様なときもイメージを大切にされており、イメージからより子どもたちの能力を高めていくというお話や実践を見せていただくことができました。子どもに「○○な感じで弾いてごらん。」というアドバイスで、がらりと演奏が変わるという初日の斎藤先生のお話。一つの曲をイメージを使って様々な感じに演奏する楽しさを体験した、近江先生による選択講座「教科書教材料理法」。イメージを使っての指導は、子ども一人ひとりを大事にすることや共感できる喜びを得ることができるものであると改めて考えさせられました。内容が充実していただけに、とても短く感じられた2日間でした。(東京まで行ったかいがありました・・・・)次回は、どんな講座があるのかと楽しみにしています。                                   
                                   神奈川県 上原 寛子

 今春の異動で新任の時以来、久しぶりに1年生から担当することになり、とまどいながら1学期を過ごした。夏の研修会では低学年の内容を中心に研修したいと考えていたので、今回の講座を受講した。鍵盤ハーモニカの特性を生かした素敵な演奏から講座は始まった。鍵盤ハーモニカをただ教育楽器として扱うだけでなく、一つの楽器として音色を生かしながら演奏することの大切さを感じた。本当に1年生の何も知らない子どもたちへの導入は講師の先生の経験談を交え、実際に鍵盤を使って研修したのでとてもわかりやすかった。1学期に悩んでいたことが全て解決した。鍵盤ハーモニカでたくさんの曲を吹くことよりも鍵盤ハーモニカという楽器を通してこれから学んでいく音楽の基礎や授業の約束を身に付けさせていくことが必要なのだということがわかった。そして、無理して全部を全員にやらせるのではなく、分担奏や歌や楽器との効果的な組み合わせにより、高学年までずっと楽しんでいける楽器だということを再認識することができた。
                                   東京都
   唐澤 里美

 今回初めてこの研修会に参加させていただきました。二日間にわたる研修会は今日の音楽教育を見通した総合的な講座として、他に類を見ない規模の大きさを感じました。以前よりDMにて送っていただく内容は常に先進的なもので、音楽教育の今日的な課題を追及でき大変興味を持っておりました。今回の講座も、講演・全体講座・ワークショップ・実践発表多彩に準備され、私達の身近な問題を取り上げていただき、大変勉強になりました。さまざまなテーマと内容を選択できるワークショップはどのコースも魅力的でしたが、やや総花的であり、もう少し核心に迫る内容が欲しいと物足りなさを感じるコースもあったようです。今後の課題としてさらに検討してください。二日間の研修を終え、現場の実態に即して参加された先生方もそれぞれの講座に触れて、また明日への糧になったのではないかと思います。さらに、先生方が今回の研修の成果を生かした実践を積み重ね、各地域での研究の輪を広げていく方向を期待したいです。                                              東京都 中村京子

 私は今回の講座の案内を見てまずタイトルの[教科書教材料理法」の"料理法という言葉に魅力を感じました。まさしく教師の腕の見せどころが上手かどうかによって子供たちの食いつき、楽しみ方が異なってくるからです。資料のまとめ方も最高で”なるほど”と納得。講座の最初はリズムを体で感じるための"歩き”と”ボール投げ”。どちらも楽しみながら自然に体でリズムを感じることができました。子どものように間違えないように、失敗しないように必死でやりました。リズム・メロディー・ハーモニーの基本要素の中でぬけているものを教師が補ってあげる。また、低音を鍵盤ハーモニカで入れたり、同じリズムで打楽器を演奏したり、和音を一人で弾くのが難しいときは、6人用オルガンを使って一人一音ずつで分担奏。ハーモニーキーボードを使ってボタン1つで和音を楽しむなど教育機器を有効活用することによって、表現が豊かになっていくことを実際にグループ毎で実感しました。日頃、低学年の授業は学年単位で月に2回しか教えていないのですが、今まで以上に子ども達が楽しんで音楽の授業にきてくるよう、料理法を工夫して自分自身楽しみたいなと思ったとてもすばらしい講座でした。
                                                     千葉県 石井幸恵

この「リズム・ムービング」の講座は、他の講座とは雰囲気が違っていました。講座の始まりから、「これは、何だ!」という、緊張感みたいなものがありました。まず、推進委員の方が講師の紹介をして、「よろしくお願いします」と言いました。ここまでは、どの講座でもよく目にする光景ですが、その次に普通は講師の方が「みなさん、こんにちは。○○です。」などと続けていくと思いきや、「リズム・ムービング」の講座の講師である柳沼先生は、何も言わずに、紙袋をごそごそさせて、中から紙風船を出し、その次に何かを手で覆いながら出して、手の中に何かが入っているか分からないようにしました。そして、受講者の近くへ行って、小さな声で「なにが入っていると思う・・?」と聞かれました。”エッ!!”。この中身は、柳沼先生の講座をこれから受ける方たちのために、伏せておきまが・・・!。他にも様々なことをやりましたが、この講座を受け終わって改めて思ったことは、音楽の面白さは想像力を膨らまして演奏するところにあるということでした。最も印象に残ったことは、打楽器を持つ前に、その音はどんな音がするのだろうかと、楽器を持ったつもりでたたいてみることが大切だということでした。
                                   東京都 藤井嘉也結実子

 今年も仕事の都合で一日しか参加できませんでしたので,午前中のワークショップEと,午後の実践発表のみになってしまいました。今回はボンゴの奏法を勉強したいと考え,八木成隆先生の「ラテン打楽器の魅力」を聞かせていただきました。
 はじめは簡単な準備体操から入りましたが,これも手や脳の訓練に効果的なのではないかと思いました。子どもたちも楽しく遊びながら訓練できそうに思います。次に様々な楽器を紹介していただきながら,ブラジル系のリズムからサンバを,またキューバ系のリズムからチャチャチャを勉強しました。サンバではスルドを叩かせていただきましたが,とても楽しく,時間があっという間に過ぎてしまいました。八木先生の素晴らしかったのは,小さな子どもたちにとってそのリズムが難しいときは,そのイメージを残したままやさしくしたリズムを紹介してくれていたところです。これなら授業にすぐ役立てることができるだろうと思いました。チャチャチャでは,待望のボンゴを叩かせていただきました。なかなか難しく,八木先生の手の動きを見逃さないようにしていましたが,短い時間ではとてもできませんでした。ここでも,チャチャチャのイメージを残したまま,簡略化したパターンを教えてもらい演奏しました。これだったら小学生でもできそうです。
 最後には,使用しなかったそのほかの打楽器をたくさん紹介していただきました。2時間半の中に,大変凝縮した形でサンバとチャチャチャのリズムを勉強させていただきました。個人的な感想を申し上げれば,一日かけて勉強したい内容だなと思いました。もしできることなら,サンバとチャチャチャだけでもそれぞれの楽器を交換し,それぞれのリズムを体験・練習し,授業の中で演奏して見せられたら,子どもたちも大いに喜んでくれるのではないかと思いました。来年は是非一日でお願いします。 大変お世話になりました。またよろしくお願いいたします。                                   茨城県 塚本澄夫


◇ お知らせ
  第13期・後期[音楽科特別講座」
   平成17年1月21日(土)


    詳細は
10月中旬に”ジジの音楽教育情報”で!!


                                                ▲TOPページへ戻る