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私の授業実践から(その1)
一年生の指導が勝負・変声期にめげない・音を取れない子をつくらない
〜月に2〜3回の授業でも〜  

研究主題 〜生徒一人ひとりが音楽性を追求し楽しさを実感できる合唱指導〜
 平成15年度 『特色ある学校づくり』  川崎市教育委員会研究推進校
川崎市立向丘中学校  校長  操  雅子
〒216-0031 川崎市宮前区神木本町5−11−1
操 校長先生の実践を紹介します。先生の実践は教育雑誌や新聞等で数多く掲載させております。また、参観者も多く,"目から鱗”といった感想が多く聞かれます。その指導の姿勢は今回のタイトルからも察しがつくところです。今回はスペースの都合から極力ポイントを絞ってお願いしました。次回の"今回の特集”で紹介する内容はこれらの授業実践の積み重ねの集大成の姿の1つとして感動ある見事なもので反響が大きな内容です。 
はじめに■
音楽科としては、音楽の持つ芸術的な特性を十分生かした音楽活動を通して、美しいものや崇高なものに素直に感動できる、心豊かな人間の育成をめざしているわけです。そのためには1人1人の音楽的資質や能力を高めることにより、心の暖かさや、やさしさ、力強さなど、個々に、その曲や言葉や、詩の意味に応じた深い表現が出来るようになった時、(ただ元気良く歌えて楽しかったというのではなく)深い意味での音楽の楽しさ、喜びを感じ取り、豊かな感性を養うことができるのではないかと思います。
そこで、個々の能力を引き出すための授業の工夫や指導のための技術について、また授業が少なくなった現在、1分でも無駄にしないための授業の進め方などについて述べてみたいと思います。紙面が限られている関係上、ポイントのみを載せさせていただきます。

【大切なこと・・・1年生での指導がポイント】

≪1年生・歌うことの楽しさと満足感が味わえるように。≫
@ 3年間を見とおした指導計画を作成する。
A 一人ひとりを把握し、伸ばすための生徒の配置と動かし方
B 一人ひとりを把握し、伸ばすための授業の進め方
C 1分でも時間を無駄にしないための工夫
・音楽室の楽器・楽譜等の配置と準備
・リーダーを機能的に動かす。特に新曲の音取りはリーダーを中心に集中力をもって早く仕上げる。(例・「夏の日の贈りもの」は15分で終える)(例・「この地球のどこかで」は20分で終えるスピードで)
D 集中力を持たせる工夫と授業の進め方
E 自主的に活動するための授業の体制づくりをしっかり行う。
リーダーをしっかり育て、1年生のうちに、体制づくりができてしまえば、2・3年生では教師がいなくても授業が進められるくらいの力がつく。
F 発声は、1年生からきちんと教える。
G 変声期について知らせ、音痴の子をつくらない技術をもつ。
H 6月ごろまでは地声でよいが、それ以後は弱い声でも響きのある声で歌えるよう指導する。
I いい響きをつくるための無駄のない発声とは何をどのようにすればよいかを知る。
J しつけをきちんとして、集中力を持たせるよう指導する。
K 教師自ら、自分の音を持ち、生徒1人1人の音をなおす技術を発見する。

【上記の中から大切なポイント抜粋】

≪一人ひとりを把握し、伸ばし、自然にやる気をおこさせる方法としての発声について≫
発声練習はいつでもどこでも先生がいなくても、自分たちでできる方法で。
発声練習に適したきれいな曲の伴奏にのって、響き・発音・腹筋など一連の技術が磨けるようにする。伴奏は生徒が弾くかテープで行うのがベスト。
■利点■
@発声練習の7〜8分間の間に、教師がまわって半数以上の生徒にアドバイスできる。
A変声期の生徒にいつも注意をはらうことが出来、音痴をつくらない。
Bその曲が聴こえると自然に合唱の隊形に並び、歌う気持ちになれる。
*使用する曲目・・(Piacer d'amor) (コンコーネ5番)(ヘ調のメロディー)   
*発声に使用できる曲目はどれでも良い訳ではなく理由がある。

≪1分でも無駄にしないための音取りの工夫≫
リーダーを機能的に動かし、集中力をもって早く仕上げる。
リーダーを育てる・・・@コンサートマスター(1人)C音楽係(2人)Bパートリーダー(4人)E指揮者(1人)
新曲の音取りをコンサートマスターが中心になってリズムを取り進めていく。各パートの音程を、同時に同じ部屋で取る。同時展開の音取りのシステムによって時間を 短縮する。このことによって集中力が増し、しゃべったり、横を向く子はまず、いない。新曲をA〜Eの記号で区切り、何度も繰り返しながらEまで行き着くが、その曲のテンポで切れ目なく、曲の最後まで行き着くのが秘訣。

サンハイ A→→→B×5回
サンハイ A→→→B→→→C×1回
サンハイ       B→→→C×5回
サンハイ A→→→B→→→C→→→D×1回
サンハイ            C→→→D×5回  
サンハイ 全曲通して×2回

(「春に」を1時間で音をとり、その時間の最後に合唱できるテンポ)

≪一人ひとりにかかわれるための生徒の配置と動かし方≫
【ポイント】
・移動順が決まっている。立つ位置がいつも同じである。
・15秒以内で移動を完了する。
・音程の取りにくいバスとアルトを外側に置きかなり後まで音を弾いてやる。

     

■追伸■
今回は、操 校長先生の実践からポイントを紹介していただきました。機会をみて各ポイントについて詳細をレポートして頂きたいと考えています。ご期待ください。
向丘中学校では、総合的な学習の時間のの一つとして『芸術総合」について取り組みました。その実践報告を先日公開されました。大変反響が大きくマスコミでも大きく取り上げられました。 
近々、『今回の特集』で紹介します。”乞う ご期待”

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