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ゼロ0からのスタート〜定期から新入部員確保まで〜■


"織戸流 オーケストラの実践指導事例集"  その2

■紹介校
千葉県習志野市立第六中学校  管弦楽部
校長 木村武光  顧問 織戸弘和
千葉県習志野市屋敷2−17−7

■ジジからのメッセージ              
今回は織戸先生の奮戦記の中で、定期演奏会から新入部員確保までの様子をお知らせします。この時期はどこの部活動でも普段とは違った様々なドラマがあります。卒業生を送り出し、残された在校生の前に立ったときの心細さ・・・。"あ〜あ〜・・""またゼロからのスタートか!・・"と頭を抱える日々。でも、心機一転。新入部員確保にあれやこれやと秘策を練ることになりますが・・・・・?。
そんな一面を紹介します。

平成6年東邦音楽大学音楽学科卒。加古勉氏にトランペットを師事。平成9年度習志野市立第一中学校に赴任する。管弦楽部の顧問となり、全国学校合奏コンク−ルやTBSこども音楽コンク−ルにて、最優秀賞、文部科学大臣奨励賞を受賞する。


熱が入った織戸先生

頑張ります

いつも仲良しです

 

第四回定期演奏会から

プロとの共演
いきなり、昨年度の活動の説明からはじめさせていただいて恐縮ですが、昨年度の活動は、3月27日(土)に体育館でおこなった第四回定期演奏会を最後に終了しました。曲目は、昨年度コンクール曲の序曲「ローマの謝肉祭」(ベルリオーズ作曲)と、トロンボーン講師の伊藤敬二さんを独奏者に迎えてのトロンボーン協奏曲(ヴァ−ゲンザイル作曲/楽譜は手作りしました。) と、ベートーヴェン作曲の交響曲第五番「運命」です。序曲「ローマの謝肉祭」は、昨年4月より取り組んでいた曲ですが、部員の力量が相当問われる曲で、早くなってからの8分の6拍子という厄介なリズム処理に悪戦苦闘しました。それでも、暗譜で(カット版ですが…)演奏できるようになりましたので、良くがんばったと思います。トロンボーン協奏曲ですが、ソリストの方と共演するということは、前任校で毎年おこなっていました。プロの本物の演奏が間近で聴けて、リハーサルが見学できるというチャンスは、大人になってもなかなかあることではありませんので、とても貴重な体験です。生徒たちの音楽に対する感性を磨くことが出来れば良いなあと思います。
迷走の「運命交響曲」
メインプロの「運命」も4月から練習してきた曲ですが、第1楽章は昨年度何回も本番にかけたことのある思い出の曲です。まあ、最初は冗談のつもりで(半分以上期待を込めて)「全楽章演奏するぞ!」と言い張っていました。第4楽章は、中学生でも理解しやすく、つかみ所のある曲ですので、何回かの合奏で止りながらでも通るようになりました。問題は第2・3楽章で、(自分の経験上)中学生はこの緩楽章が辛いのです。(集中力や体力的にです。/弦楽器奏者などは、良く半分寝ながら弾いていること数多くあり。←実話。金管奏者は、あまりにも暇すぎて出のタイミングを忘れる。60〜100小節単位のお休みなど当たり前です。) 今回は、さすがに名曲ということで第2楽章などは、「ここからテーマ。はい、ここから第1変奏」などとずっとしゃべりながら練習をおこなってきました。3年生が受験から戻ってきてプログラム作成(3月初旬ぐらいか?) を始めるころまで、第一楽章だけにしようかなあと思っていましが、本番では何とか止まらずに通りましたので、1年間で全楽章通せるだけの体力がついたんだなあと思い、とてもうれしい感じました。アンコール曲は、メイン曲より力を入れて練習しているのですが、その年度に演奏した曲で印象深いものを、毎回4〜5曲ほど用意しています。
リハーサルから
先輩の心使いです
伊藤敬二さんです

プログラム

涙のアンコール
今年は、アンコール曲は「ロード・オブ・ザ・リングス」、「川の流れのように」、「世界に一つだけの花」、「蛍の光」(弦楽四重奏の演奏をバックに部長が今までの思いを語ります。当然涙です。その後、私から卒業生に花を贈ります。)「ラデツキー行進曲」(最後は華やかに。) です。今年は、びっくり企画で卒業生から指揮棒をもらったので、最後にもう一度「川の流れのように」を演奏しました。最後の演奏会で卒業生が涙を流している姿を見ると心が洗われる思いです。本当に教員をやって良かったなあと感じる瞬間で、こちらも思いきり感動します。今年1年間、この卒業生にはたくさん助けてもらいました。私のやることに絶対に文句ひとつ言わずついてきてくれました。とてもありがたかったです。卒業しても、良い人生を歩んでいって欲しいと思います。
お世話になっているトレーナーの方々です

新旧交代の練習について

レベルアップの近道はアンサンブルとソロ
定期演奏会も終わり、4月からは、新2・3年生の新しい部活となりました。実際には、千葉県の管弦楽の中学校は10月中旬におこなわれる学校合奏コンクール千葉県大会(千葉県予選は、生演奏でおこなう。)を境として新旧の入れ替わりがおこなわれます。新旧の交代後は、3年生のレベルまで上げるのが一苦労なのですが、私の場合、合奏中心の練習よりは、アンサンブルやソロで一人一人のレベルアップに努めます。冬場に手を抜くと、上手にはなりませんので、一人ずつ指導が出来る活動が重要だと思っています。部活動での悩み事相談を含めて、心と技術を鍛える絶好の機会です。冬場は、練習時間が15分間しか無いという日々が続きますので、短い時間をどのように工夫しておこなうかがポイントになってくるようで、生徒も考えながらやっているようです。六中の場合は、アンサンブルやソロの発表会がありますので、楽譜さえしっかり用意しておけば、みんな一生懸命練習します。(こちらとしては、どんどん勝手に上手くなっていく便利な行事という印象です。講師の方に来てもらいテクニック上のポイントは、チェックしてもらいます。)合奏で曲を仕上げることも大切ですが、アンサンブルやソロの曲で一人ずつの責任を増やし、同時にテクニックをつけることも、とても大切なことだと思います。アンサンブルやソロが自信を持って出来るようになると、譜読みが格段に早くなり初見能力が上がるため、合奏の効率が高まります。気がつくと見違えるように(聴き違えるように)上手な団体になっています。そして、来年度はその団体が母体となって新入生が入ってくるわけですから、伸びないわけがありません。
私が経験した曲から
初見が利くようになってくると、演奏するだけであれば、吹奏楽のスウェアリンジェンぐらいのレベルの曲は、たくさんあります。名曲の「未完成」や「新世界」「運命」は楽章を選べば、その程度の技術で演奏できると思います。内容は深すぎますが…。ハチャトゥリアンの曲もリズムに注意すればいけます。組曲「バレンシアの寡婦」(権利関係は、全音へ)なんかは、弦楽器のユニゾンで書いてある部分が多いので、きれいに響きますよ。しかも良く鳴ります。プロコフィエフの「ロメオとジュリエット」の「モンタギュー家とキャプレット家」も派手で、しかも簡単です。(チャイコフスキーの方は、難しいと思います。特に弦楽器が16分音符でジャカジャカと演奏している裏で、シンバル打っているところ、カッコイイけれど絶対ズレそう!)でも、テクニック的にいくら簡単でも、大切なことは音楽として伝わってくるかということなので、今書いた曲は参考にならないかもしれません。でも一回は演奏してみたい曲ですよね。
練習風景から その1



部員確保の奮闘記

アンテナを高く
新年度になって一番気にすること、「新入部員が何人入ってくるか。」です。まず間違いありません。吹奏楽でも管弦楽でも人数が多い方が、いろんな編成の曲が出来るし、音も大きくって爽快だし、特に弦楽器が増えれば、金管も遠慮無くガンガン鳴らせるしと、良い事ずくめです。部員も定期演奏会が終わると、毎日のように新入部員のことを、気にかけるようになってきます。
とりあえず、近くの小学校の演奏会には、なるべく聴きに行き5〜6年生を中心に勧誘する。そのときに、差し入れやお土産を持っていき、エサで釣るのもグッドです。このホームページに載っているとか、TBSテレビ局に行って収録を行ったなど、とにかくポイントとなり得るありとあらゆるネタを使って、広報活動を積極的に進め部員獲得に努めます。

神様〜!!"管弦楽部のドラマ"を
今年度の場合、あの有名なテニスドラマ「○をねらえ」が放送されたので、テニス部に人が流れるだろうとか、いや、アテネオリンピックへの女子バレーボール人気で、バレーボール部に人が流れるだろうとか、さまざまな憶測が流れました。(そういえば、何年か前に今は解散した人気アイドルグループ「SP○ED」のドラマの時は、吹奏楽部のサキソフォーン希望が多かったそうです。残念ながらうまみが無いので、今度は管弦楽部のドラマやらないかなあと思います。割と本気です。)そして、管弦楽部に誰々が入部するらしいとか、入部したいと言っていた、はたまた入部したいと言っていたような気がするという怪しい情報にまで、顧問も部員も一喜一憂する毎日でした。
行事には積極参加  PRに徹します
ただ、音楽の部活の場合は、優先的に「入学式」という晴れ舞台が用意されていますので、なるべく一年生の心をつかむように華やかな入場曲を演奏するように心がけています。その次の大切な行事「新入生歓迎会」でも新入生の入場演奏を率先してやらしてもらい、部活動発表の時には、最近の人気曲を他の部活より、ちょっと長めに演奏したり、仮入部期間には生徒会の管弦楽部員に部活動ポスターを、一年生がよく通る位置に張ってもらったりと、いろいろ涙ぐましい努力をしています。何でこんなにセコイ技を含め、一生懸命やっているかと言うと今年の一年生は、六中始まって以来の三クラス(しかも微妙な数です。どなたか転入してきてください。)というとっても少ない人数だからなのです。当然女子は、とっても少ない! 学校の女子の入れる部活は、全部で8つです。女子の入ってくる割合の多い部活では、本当に死活問題です。最終的には、並に入部したので良かったのですが、他の部活動も含めて、一年生の部活決定の理由を聞いてみると、「先輩が優しく教えてくれる」と言う理由が一番多かったので、やはりその辺がポイントなのだなあと思いました。(そりゃあそうです。)
一人1分のソロ デビュー
その一年生も、連休明けの5月6〜8日ぐらいに楽器が決定し、部活動保護者参観日には、一人1分以内でソロ曲発表と2・3年生と一緒にパートアンサンブル発表をソツ無くこなし、だんだんと力がつき始めています。
練習風景から その2