～NO７８号のつづき～
練習場の確保の次は楽器運搬。最大でも１５～１６名の編成。とはいえ、ビール瓶２４本詰めのハードケースを利用した譜面台入れに、コントラバス・チューバやティンパニー２台を毎回運ばなければならない。もちろん楽器の持ち出しについては校長さんには内緒・・・。これらの楽器をジジ車（ニッサン　ブルバード）で運ぶのは到底無理な話し。１～２回借りるのであればどこからか調達できるかもしれないが、・・・・・。毎週１回、継続して・・・となれば難題。

そこで、相談したのが伊藤楽器店（千葉県船橋市）。伊藤楽器さんは着任当時から４０数年経った今でも何かと大変お世話になっている。特に、当時の担当であった（故）品田さんとの出会いは、無手勝流の時代が懐かしく思い出され、今でも忘れられない。

品田さんを仲介に伊藤社長さんにお会いした。”車の借用料は?・・・・・と訪ねたら・・。　社長さんはニコニコ笑いながら”出世払いで・・・・”と。ご好意に甘えて一件落着。それからは練習日になると密かに学校を抜け出し車借用に出かける。楽器を持ち出すことは学校長には内緒。よって楽器の積み込みと返却には周囲に結構気を配った。しかしながら、内緒のつもりがしっかりバレバレだったのは後で知った。

担当の品田さんとの想いでは数限りないほど・・・。突然の楽器のトラブルに”品田さん直ぐ来て・・・！！”。ヴァイオリンＥ線一本でも・・・即　宅（学）配していただいた。クラリネットのタンポが外れたから・・・と言えば駆けつけ、ヤニのスティク棒をライターで焙りながら修理を・・・。弓の毛の張替え１本（当時は外注だったようだが・・・）でも即対応。合宿の時には、伊藤楽器の看板つきの車に白布に”習志野第一中学校管弦楽部”と書いた横看板を付け、交代で運転しながら碓井峠を越え飯綱（信州）に向ったことも度々。廃品回収でも車を借りた。もちろん、演奏旅行やコンクールでも・・・。楽器のグレードアップのため、丸一楽器（大坂）問屋？に５００万位の予算で楽器の選定にも同行。これを機会に”スチール弦からガット弦に変えてみたら・・・”と助言してもらったのもそう。（音色は随分と柔らかくなったが・・・・・その分消耗品費が高くつき教頭さんに渋い顔をされたが・・・）
ウィーン派遣では、総勢１０３名分の輸送用楽器ケースの借用からダンピット（除湿剤）のことまで・・・。もちろん品田さんにも同行してもらい、成功裡にその使命を果たすこともできた。

このようにして、伊藤楽器さんには会社ぐるみで（チョットオーバーかな・・・）今なおジジを応援してくださっていることに心から感謝をしているところである。この楽器店さんの気配りは今も昔の全く変わらない。学校現場からも厚い信頼を受けているのは言うまでもない。（アフターでもどんなにお世話になっていることやら・・・・）

品田さんとはプライベートでもよくしてもらった。北海道出身。三味線が得意。同じ年頃の息子さんがいたこともあり、赤提灯にもよく行った。今ほどカラオケが流行っていないころ・・・。品田さんの歌声はそれはそれは素晴らしい。彼が歌い出すと周囲が静まり聴き入ってしまうほど・・。低音から中音のやや太めで甘い声。中音から高音のチェンジボイス？もお見事で惚れ惚れした。音域もとても広くレパートリーも幅広い。伸びやかで響きのある歌っぷりにはいつもマイッタ・・・！！（一応　声楽専攻のジジではあるが・・・全く太刀打ちできない）。マイクの使い方も上手かった。布施　明も顔負け。”霧の摩周湖、シクラメンの香り・・・・・。独特なポルタメントやスラー、絶妙なニュアンスの歌に聴き惚れたのはジジだけではなかった。

ジジの十八番の一つに”♪摩周湖のよ～る♪”コーダ？の部分でポルタメントの表現はいまだに品田さんの域に至っていない・・・・・・。

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