第15期・前期「音楽科特別講座」実施報告 その1 〜音楽教育はこれからどう変わっていくのか〜 文部科学省教科調査官 高須 一先生 平成19年8月22日(水)〜23日(木) 会場 上野学園大学 主催 音楽教育推進協議会 |
後 援 文部科学省 東京都/神奈川県/千葉県/栃木県/群馬県/山梨県/長野県/埼玉県/茨城県/新潟県 各県教育委員会 横浜市/川崎市/千葉市 各教育委員会 東京都小学校音楽教育研究会/神奈川県小学校音楽教育研究会/埼玉県音楽教育連盟/千葉県教育研究会音楽 教育部会/栃木県小学校教育研究会音楽部会/群馬県音楽教育協会/茨城県教育研究会音楽教育部会/山梨県 小中学校音楽教育研究会/長野県音楽教育学会/新潟県音楽教育研究会/横浜市小学校音楽教育研究会/川崎 市立小学校音楽教育研究会/東京都中学校音楽教育研究会 協 賛 ヤマハ株式会社 |
はじめに 〜大勢のご参加をいただきありがとうございました〜 伝統ある石橋メモリアルホールと5月に完成した15階建ての新校舎の上野学園大学。今回は上野学園大学の全面的なご支援ご協力をいただき素晴らしい環境で充実した内容で開催することができました。 また、本講座開催にあたり文部科学省のご後援をいただけたのも、主催者としても大変うれしく思っているところであります。 今回は ○全体講座〔T〕高 須 一(文部科学省教科調査官) 〔U〕中 山 真 理(作曲家) 〔V〕根 岸 弥 生(ピアニスト&獣医師) 〔W〕冨 澤 裕(合唱指揮者) ○ワークショップ数 17講座 で開催いたしました。ここ数年受講者数も急増し、今回も600名を超える大勢の先生方のご参加をいただきありがとうございました。 今後もより一層現場の先生方のニーズを直視し、少しでもお手伝いできればと考えよりきめ細かな講座にしていきたいと考えております。その概要を数回に分けて紹介します。 |
◆全体講座 〔T〕 音楽教育はこれからどう変わっていくのか 文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官 国立教育政策研究所教育課程課研究センター研究開発部教育課程課調査官 高須 一先生 |
1、 学力のとらえ方 中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程課「教育課程部会の当面の検討課題(例)における論点につい ての整理の例(試作(「平成17年10ガツ31日配布資料)より ○すべての子どもたちに身に付けさせたい知識・技能等の徹底(「基礎・基本」の徹底) ○すべての子どもたちに身に付けさせたい能力の育成(自ら学び自ら考える「力」の育成 ○関心・意欲・態度 「新しい時代の義務教育を創造する(答申)」 (中央教育審議会、平成17年10月26日)より ・習得型(基礎的・基本的な知識・技能の育成の教育と探究型(自ら学び自ら考える力の育成)の教育。この両方 を総合的に育成する。 基礎的な知識・技能を徹底して身に付けさせ、それを活用しながら自ら学び自ら考えるなどの「確かな学力」を育 成し、「生きる力」をはぐくむ。(実生活の中で活かす、生きて働くようにする。) @体験から感じ取ったことを表現する力 A情報を獲得し、思考し、表現する力(言語や情報を活用する) B知識・技能を実生活で活用する力(知識や技能を活用する) C構想を立て、実践し、評価・改善する力(課題探究の技法を活用する) 学校教育法(平成19年6月20日改正法成立、27日公布) 第三十条 A 前項の場合においては、生涯にわたり学習する基礎が培われるよう、基礎的な知識及び技能を習得させると ともに、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力その他の能力をはぐぐくみ、主 体的に学習に取り組む態度を養うことに、特に意を用いなければならない。 |
2、「音楽科、芸術科(音楽の現状と課題、改善の方向性(検討素案)」 ☆「音楽科、芸術科(音楽の現状と課題はこちら 〔改善の方向性〕 1、目標について 目標については、次のような視点を重視して改善を図ってはどうか。 ・表現や鑑賞の活動を通して、感性を働かせて音や音楽を感じ取り、思いや意図をもって表現したり味わって聴 い たりする力を育成し、豊化な情操を一層養う。 ・多様な音楽及び音楽と生活とのかかわりに関心をもち、生涯にわたって音楽文化に親しむ態度を育てる。 2、豊かな感性や情操を育てるための内容の改善について 内容については、豊かな感性や情操を育てるために、次のような改善を図ってはどうか。 ・すべての音楽活動の支えとなる指導内容を〔共通事項〕として示し、感性を働かせて音や音楽を感じ取り、思 考・判断する力を一層重視する。 ・歌唱、器楽、創作、鑑賞ごとに指導内容を示すとともに、創作については、学校・学年段階に応じて、音を音楽 へと 構成していく過程を大切にする観点から「音楽づくり」(小学校)、「作曲」(中学校・高等学校)の学習として 示す。 (例)小学校: 表現領域(「歌唱」、「器楽」、「音楽づくり」の三分野)、鑑賞領域及び〔共通事項で内容構成をし めしてはどうか。 中学校: 表現領域(「歌唱」、「器楽」、「作曲」の三分野)、鑑賞領域及び〔共通事項で内容構成をしめし てはどうか。 ■ 〔共通領域〕のイメージ ・音楽を形づくっているさまざまな要素(例えば、リズム、旋律、強弱、速度、音の重なりなど)の 働きが生み出す雰囲気やよさを感じ取ること ・音楽に関する記号や用語を音楽活動と関連付けながら理解すること など 3、音楽と生活と「かかわりについて 音によるコミュニケーションを通して、生活や社会と豊かにかかわる態度をはぐくみ、生活を明るく潤いのあるもの にする音楽の役割を実感させるような指導を重視してはどうか。 (例)小学校: 児童の生活や身の回りの中にある音に着目し、音探しや音の探求を行ったり、音遊び等を通じて 音に親しんだり音楽につなげていったりするような内容を発達に応じて示してはどうか。 中学校: 音環境への関心を高め、音が生活に果たす役割を考えたり、音楽文化の多様性を理解したりす る学習を重視してはどうか。 4、鑑賞の指導のあり方 音楽の良さを生み出しているさまざまな要素の働きなどを聴き取ったり、音楽に対して、根拠をもって自分なりに 批評したりすることのできる力を育成する指導を一層充実してはどうか。 5、我が国の音楽文化などの指導のあり方 我が国の伝統音楽に対する理解を基盤として、我が国の音楽文化に愛着をもつとともに他国の音楽文化を 尊重する態度等を養う観点から、各学校段階の特質におうじて、我が国や郷土の音楽の指導を一層充実しては どうか。 (例)小学校: 文部省唱歌など我が国で長く歌い継がれ親しまれてきたうたや郷土の音楽を教材として取り上げ る指導を一層重視してはどうか。 中学校: 我が国の伝統的な音素材の特徴などを生かした学習を充実する観点から、和楽器の取扱いに加 えて、我が国の伝統的な歌唱の取扱いも重視してはどうか。 6、高等学校における科目の内容について 中学校音楽科との関連を考慮し、音楽文化の継承と創造への関心を一層高めるために、我が国の伝統音楽や 鑑賞の学習を充実すつとともに、生徒の個性を生かしたそう創造的な活動を行う ようにしてはどうか (例) 「音楽 T」:中学校音楽科の学習を踏まえ、音楽文化に関する学習を充実してはどうか。 |
☆その1 ○全体講座 〔1 〕 〜音楽教育はこれからどう変わっていくのか〜 文部科学省教科調査官 高須 一先生 本協議会は「音楽科特別講座」の目的の一つに、「最新の教育情報」を提供することがあります。その意味からも 高須 一先生にご講演をいただけたことは大変うれしいことであります。学習指導要領の改訂がなにかと話題なっている今日。先生のお話しの中に、今後の方向性といった雰囲気を感じたとても有意義な内容でした。と当時に、現場への期待がより一層高まっていることも改めて実感したところです。 今回は当日配布された資料の中から抜粋して紹介します。 |
5、「音楽づくり」の重要性 ○音楽づくりの意義 @学年段階での発展:「音」を「音楽」へと発展させる。 ・素材としての音を音楽にしていく ・これまでは、音を音楽に発展させるという視点が十分でなかった ・音を音楽へと発展させる方法(様々なアプローチ) A広い意味での「音楽づくり」(Music Making)の大切さ 創作の活動から、「歌唱」 「器楽」 「鑑賞」を支えるような学びへ |
石橋メモリアルホールステージ
高須 一先生の熱弁に引き込まれてしまいました。
満席の全体講座。先生方の熱意と、希望を感じた一瞬でした。
クラッシクファンにはなじみ深いクラシック専用の音楽ホール。音楽設計はサントリーホール、カザルスホールなど多数の音楽ホールを手がける永田 穂氏の最初の作品で、音響の素晴らしさは世界的に有名。
この空間で心のハーモニーを体感しました。
☆ 国 の 動 向 (抜粋)☆
上野学園大学15階からの眺望